彫刻のざっくりとした歴史の話【1日1品】
昨日、「大谷工作室」さんのショーがすごくいい。と書きました。
すごく正統派のストレートな彫刻で最高!って書きました。
今日もその話です。
正統派な彫刻ってどういうこと?? っていうのを書きます。
えー。
すごくざっくりとした話をすると、現在の「彫刻」って言われるものは、5,000年前の古代エジプト時代がルーツです。
ピラミッドの横でカチカチつくられていたものが原点。
それが、海を渡って古代ギリシアで進化します。
ミロのヴィーナスとかあれです。
その後、キリスト教が広がると、古代ギリシア人の技術や価値観は失われてしまいます。
ここで終わってしまうかに見えた彫刻の流れですが、15世期になるとミケランジェロやらラファエロやらの同時にあらわれた天才たちが、古代ギリシア彫刻の技術と思想を復活させます。
まさにルネサンス(文芸復興)。
この流れは18世紀のアントニオ・カノーヴァとかまで続き、技術的にはピークになります。
で、19世期になると、ロダンが誕生します。
「近代彫刻の父」と言われるあのロダンです。
考える人でおなじみの、あのロダンです。
ロダンはなにをしたの?? と言うとね。
簡単に言うと彫刻の「要素分解」を最初にはじめた人です。
エジプトから始まり、ギリシア、ルネサンスと続いてきた彫刻ってものを構成する要素を洗い出し、そのいくつかを強調して表現しだしたんです。
そして、アンサーソングを歌いだします。
例えば、ほら。
ミロのヴィーナスって、女性にしては胴体が太ましい感じですよね。
だらしなくはないないけれど、太ましく肉肉しい感じ。
これは、ギリシア彫刻の特徴です。
これをうけて、ロダンをはじめ、ブールデルもマイヨールも、彫刻とは肉肉しい感じが大事だ! となります。
そして、ロダンはその肉肉しさをだすために、骨と筋肉の筋を強調した作品をつくります。
そのまた逆に、ジャコメッティは、極端に肉を削った作品をつくります。
ようするに、近代の彫刻アーティストたちは、ずっと続いてきたギリシア彫刻への、アンサーソングを歌いだしたのです。
2,000年たち、親元をはなれて、飛び立ち始めたんですね。
はい。
やっと本題の「大谷工作室」さんの話です。
「大谷工作室」さんの作品からは、この彫刻DNAを色濃く感じるんです。
ギリシアのDNAががっちり組み込まれた作品だなって思うんです。
もしかしたらギリシア人なんじゃないかな。
丸っとして肉肉しい感じと、繊細な表面の仕上げと、緊張感がありつつも、宙に浮いたような非現実的な感じとか。
そんな感じ。
本日の1品は「おみく」です。
とにかくショーを見に行きまショー!