くま美術史

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見えているようで見えないもの【1日1品】

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本日は「びじゅツアー」の日でした。

写真はこの前行ってきた上野動物園です。関係はありません。

 

今回は六本木の「国立新美術館」で開催中の「シェル美術賞2016」に行きました。

詳しいレポートは後日また書きます。

本日は、今日見た中でも、ものすごくよかった作品の話です。


その作品は所 彰宏さんというかたの「見えないことで見えること」というこちらの作品。

 

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なんかですね。

これ、むちゃくちゃよかったんですよ。

サイアノタイプという、写真の技術をつかってつくられた作品らしいです。

技法について詳しくはしりませんが、いわいる「青写真」という昔からある技術のようです。

おそらくこの作品は、薬剤を塗った用紙の上に、直接なにか「もの」を置いて露光させた「フォトグラム」と言われるようなやり方かと思います。


なんか、不思議な感覚なんです。

パッと見は、さらっと描かれたドローイングのような風合いなのに、近づいてみると写真ぽい表情もあって。

空想と現実の世界をごっちゃにしたような作品でした。


他の出品作に比べると小さくて地味な作品なので最初は目立たなかったんですが、ずっと見ていられる安心感と、高揚感が同時にあるすばらしい作品でした。


この作品に賞をあたえた能勢陽子さんという方は、豊田市美術館学芸員だそう。

やっぱり、あの美術館はすごくいいんだな。