くま美術史

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これが……テクノロジーなのか……【1日1品】

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ついに来たか。


テクノロジーをアートの道具として使うことは、かなり前から行われていました。

でもそれは、コンピューターグラフィックスを使って絵を描くことだったり、3Dプリンターで彫刻を作ることだったり、映像を加工して動画をつくることだけ。

つまり、今まで人間がふつうにやっていたことを、テクノロジーの力を使ってやっているというだけの話です。

発想の段階では、数千年前とそんなに変わっていません。


そんな中、やっと、本物のデジタル世代が出てきました。

Yuri Pattison(ユリ・パティソン)。

彼は、テクノロジーの世界そのものを、現実の世界で表現しようとする最初のアーティストと言えます。


私も、テクノロジーは強くないので、よくわからない部分が多いので、すごーく簡単に言いますと……

「Web」という仮想空間そのものを、現実の空間の中で表現しているのです。

どういうことかというと、インターネットの最大の使命は「現実的な距離を無視して情報を伝達すること」です。

すべてのものごとを、数字を基本とした「特別な言語」に置き換えることで、離れているという物理的な制約をすべてとりはらい、感覚を共有することがインターネットのすごさです。

また、FREE、SHARE、新しい通貨、IPアドレスという新しい住所などなど、オンラインの世界で確立していった今までにない「文化」。

これを、そのまんま現実世界に表現しています。


うーん。

まったく説明できていませんね。


例えば本日の1品の「free traveller」(フリートラベラー)ですが……

この作品、材料は「IKEA」でふつうに売っている棚と、どこにでもあるディスプレイです。

 

 

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これは、インターネットの中で生み出された文化を、レディメイドの形で展示しつつ、ソースコードを組み込んでなんかいろいろ……

 

となりの部屋にはソニーの「アイボ」がいて、このロボットが見た世界をディスプレイに写しながら、他の場所で共有されている動画を重ねてなんかいろいろ……

 

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で、さらに、展示期間中アーティストのウェブサイトは、Google Miniサーバー上のCell Project Space(http://81.130.128.225)のパブリックIP上でのみ利用可能となっているなど、要素てんこ盛り。


わからん!!!

が、なんかすごいことをしようとしているのはわかる。


まぁ、おおざっぱにまとめると、今までのアーティストは、現実の世界や自分の脳みそで生まれた世界を表現するために、テクノロジーを使ってきました。

ユリ・パティソンは、テクノロジーの世界を表現するために、現実の道具を使っているのです。

 

発想と、見ている景色がまったく違う。


このアーティストは、要チェックやで!!