くま美術史

くま美術店の公式ブログです。するりとわかる美術史や、笑える美術の展覧会情報などをお届けしていきます。公式販売サイト「くま美術店」http://kuma-bijutsu.jp/

アートの世界にオートで組み込み【1日1品】

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ぜんぜん知らんかった。


ノルウェーの織物について、なにか知っていますか?

私、ぜんぜん知りませんでした。

 

Sissel Blystad(シセル・ブライステッド)さん。

彼女は、1944年にノルウェーオスロで生まれました。

1970年から、テキスタイル(織物と染物)の作品をつくり始めます。

ノルウェーの中ではそれなりに人気があったようですが、世界的な舞台で脚光をあびるでもなく、ふつうの職人さんとして生活していきます。


なんですが、どうやら彼女は天才でした。

ここへきて、ニューヨークのギャラリーから熱いオファー。

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作品がすごいわ。

テキスタイルって、こんなことできるんですね。

 

本日の1品はこちら。

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でも、せっくだからもう1品。

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美術のいいところは、ジャンルの壁があんまりないところです。

「これが美術だ! 」っていうものはなんにもありません。

その他の多くの「文化的なもの」は、伝統的な形式が決まっていて、そこの範疇にあるものを評価します。

歌舞伎座に、いきなりマイケル・ジャクソンを連れてきても、歌舞伎の世界では評価できないでしょう。


でも、美術は、どこかに面白くていいものがあったら、それを「新しい美術」と言い張って評価します。

だから、いっこうに色あせないし、衰退しません。

その、ふところの深さが、美術のいいところです。

 

シセルさんも、本人がどう思っているかはわかりませんが、いいものを作ってしまったが最後。

アートの世界にオートで組み込まれます。