くま美術史

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トレイシー・エミン・ハピバ【昨今のアートワールド】

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Tracey Emin(トレイシー・エミン)さまの御生誕記念日らしい。おめでたいことです。

 

このベッドの作品はトレイシー・エミンの代表作であり、イギリス美術史に残る名作。使い古した汚いベッドを、避妊具とか生理用品などと一緒に置いただけの作品で、よくもこんなもの置いてくれたな! 美術舐めんな! という声と、これこそが現代の表現だ! これを評価できずに新しい時代は到来しない! という声が雄叫びあう混沌を巻き起こしました。

 

私がエミン様の作品を、最初に生で見たのは、2007年のヴェネツィアビエンナーレ。10月初旬の快晴の日で、気温も適度に高く、あぁ、イタリアに来たんだなぁという感慨に浸りながらビエンナーレの会場を歩いていると、藤本由紀夫とか、束芋とかの作品がけっこういい扱いで置かれていて、京都造形芸術大学卒業の私にはなんだか嬉しかった気がします。

国別の展示小屋が並んでいるエリアで、日本館の斜め前にあるイギリス館の前にくると、ホームセンターで売っているような木の板を乱雑にくっつけたようなオブジェがあり、なんやかっこいいなと思いながら入ると、そのオブジェとドローイングだらけの展示が行われていました。かっこよかったので、10€ぐらいで売っていた展示品のカタログを購入。

 

でも、その頃はまだ今ほど、世界のアートシーンに興味がなかったので、あの展示のアーティストが、この「ベッド」の作品のアーティストと同一人物だとはしばらく気づきませんでした。

 

気づきましたか。今日は、私のただの旅行の思い出話で終わります。また明日。