ゴロウ・サカモト【昨今のアートワールド】
オークション会社のサザビーズがこの一年を振り返っています。
9月にニューヨークで開かれた「Asia Week」というオークション。
有名な「不言堂」の坂本五郎さんが扱っていた中国の陶器などがよく売れたそうです。
この、坂本さんは、オークションの1月ほど前に亡くなっています。
大変に優秀なコレクターだったようで、中国の陶器や磁器を欧米のオークションに出してその価値を上げていった方でした。
アートの世界は「文脈」がとっても大事にされます。
昔の巨匠が作ったものから影響を受けて、自分はこう作った。
この時代はこういう作品が多いから、あえてこんな作品を作ってみる。
作品ごと、アーティストごとの「点」ではなく、その連なりの「線」で評価が変わってくるようです。
野球みたいなもんです。
1番打者がいきなりホームランを打つのではなく、まず塁に出て、それを2番が進めて、3番がまた塁に出てワンアウト1、3塁。
そこに4番がホームラン打って3点。
つなげることで価値が上がるんです。
ピカソは一時期、アフリカ美術の価値を掘り起こすことで、自分の作品のバックボーンを強化しました。
岡本太郎も同様に、縄文土器の価値を掘り起こしました。
古美術と、現代美術はまったく違うものに見えがちですが、どっかでちゃんと繋がっています。
こういうこと言ってみると、年をとったなと感じます。
だから、今後はなるべく言わないようにします。
古美術とか、そんなジジくさいものは好かん! という嫌なジジイになろうと思います。