くま美術史

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写真を甘やかさない人【1日1品】

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俺はそんなに甘くねえぜ。


写真の話です。

写真とは、光に反応して色の変わる特殊な紙を使って「像」を紙に定着させる技術です。

まぁ、でも、細かいことは、気にしないでください。

今日は、かなり頭のおかしな写真家の話です。

まっとうで科学的な話なんてどうでもいいんです。


とにかく、写真の紙は、光があたると色が変わる不思議な紙です。


それを知ったドイツの Marco Breuer(マルコ・ブロイヤー)さんはこう思いました。

「なるほどなるほど。光があたると色が変わるのか。じゃあ、この紙の上で火を燃やしたら色変わるな」

ボッ!


光で色が変わるんだったら、燃やしてみよう。


こちらが本日の1品「Untitled (Fuse)」

 

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燃えていますね。

 

他にも、引っかいてみたり、囓ってみたり、フィルムのケースに穴をあけてみたり、銃で撃ってみたり。

印画紙を甘やかしません。

光なんて生温い。

物理的な力を加えてやる!

いろいろな方法で、徹底的にいじめまたおします。

 

たくさんのストレスを印画紙にあたえて、さまざまな像を浮かび上がらせるのです。

 

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これ、なにがしたいの?? というと、「写真とはなんであるか」を問うているのです。

今は、本当にお手軽に写真が撮れる時代です。

もっとも簡易的な情報伝達の方法として、写真が使われています。

でも、これって、デジタルな写真にしろ、アナログな写真にしろ、結局は光を化学反応で浮かび上がらせたものに過ぎず、現実世界とは似て非なるものです。

そこに、なにかを感じたり、心が動いたりする人間とは、なんとおもしろきものですなぁ。