くま美術史

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紐をあむという特別な行い【1日1品】

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もののけ姫」を超えました。


映画「君の名は。」が、興行収入で歴代の邦画第3位になりました。

今回ぬかされた「もののけ姫」は、高校時代に友だちと毎朝セリフを朗読していたので、大変に思い出深く、残念な気もしています。

ひとつの時代が終わったんですね。

ですが、「君の名は。」もすごくすごくいい映画なので、新たにいいコンテンツが誕生したことを素直に喜ぶとします。


そんな「君の名は。」といえば、まぁ、組み紐ですよね。

アイテムとして重要なだけでなく、「紐を編む」という概念が、ひとつのテーマとしてストーリーが進んでいきます。

本編見てない方は、ぜひ見てみてください。


はい。

本日のアーティストは、紐を編んで作品を作っている人です。

名前は Françoise Grossen(フランソワ・グロッセン)。

1943年にスイスで生まれたアーティストです。今はニューヨークに住んでいます。


最初、グロッセンさんは建築を学び、その後テキスタイルのデザイナーとなりました。

1963年からアフリカのコンゴの専門学校に講師として渡ります。

その際、アフリカにえらい感化され、ガボンという国で2年を過ごすことになります。


そんな生活の中で出会ったのが、アフリカ版「組み紐」。

実際にどういったものかはわかりませんが、このアフリカ独特の雰囲気のある工芸品を、自分の表現に取り込んでいきました。

 

本日の1品は「Inchworm」

 

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ただ、紐を編みこんだだけなのに、呪術的な雰囲気を感じさせる作品です。

たぶん、私たちの中には、紐を編むということに、特別な意味を感じるなにかが組み込まれているんだろうなと思います。

DNAは2重螺旋だし、まさに組み紐だしね。

 

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そういう、気づかなかったけれど、細胞の奥底にあるなにかを、見ることのできる作品です。