パワーレスな美術品たち【1日1品】
無力やわ〜。
無力かつ、無気力やわ〜。
……そんな始まり方ですみません。
大丈夫です。
精神的にも、肉体的にもふつうです。
ただ、本日のアーティストさんが「無力でかつ無気力なモノ」をテーマに作品を作られているので、存分に無力感を味わっていただけです。
気づけばこの「1日1品」もいつのまにか100回をこえました。
今後もひっそりと、日本でほとんど紹介されないような海外の若手を中心に、紹介し続けていければいいなと思っております。
まことに。
それではご紹介。
本日はユニットで活動するアーティスト Elmgreen & Dragset(エルムグリーン&ドラッグセット)
1961年にデンマークで生まれたマイケル・エルムグリーンさんと、1969年にノルウェイで生まれたインガー・ドラッグセットさんのふたりで作品を作っているそうです。
ちなみに今はベルリン在住。
最近、本当にベルリン在住のアーティストって増えてきましたね〜。
Elmgreen & Dragsetの作品は、とにかく無力感が強いです。
壊れた階段。
溶けた暖房。
ブリーフ姿の戦士像。
見ると思わず「あぁ…」って言っちゃう作品ばかり。
乾いた笑いと、無力な感覚を楽しむための作品です。
美術は、見えないものや、見えにくいものを、見えるようにするための方法です。
「無力感」を、見えるかたちにしたのが、Elmgreen & Dragsetの作品。
現代だなって作品です。
本日の1品は、彼らの中でも最も有名で、ダントツの無力感を感じられる作品。
マーファは地名。
テキサスの砂漠地帯で、メキシコとの国境の町。
そのロードサイドに、プラダのお店をつくりました。
ただ、近づいてもドアは開かず、荒涼とした砂漠の真ん中にあるキラキラとした高級ブランドショップを、ぼんやり眺めることしかできません。
ブランドって、なんなんでしょう。
人間が感じるモノへの価値って、どこからくるのでしょうか。
あぁ、無力。