くま美術史

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オール・オーバー・カバー【1日1品】

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明日の夜は関東でも雪が降る、かもしれません。


テンション上がりますね。

子どもの頃から雪が大好きです。

雪の日はの朝にカーテンを開けると、見慣れている風景が、昨日までとは大きく変わっていて、宇宙旅行に来たような空想をしていました。

ここは、宇宙船で眠っている間にたどり着いた別の星で、奥のわずかに緑がのこる森から大きな獣が出てくるんじゃないのか。

その獣に立ち向かうために、かまくらをつくって備えていました。


ただ一面を雪が覆っているだけなのに、あれほど非日常感を感じるのはなぜなんでしょう。

もし、建物の中を、一晩でまったく違う色に塗り替えたら、ぜんぜん違う気持ちで暮らすことになるんでしょうか。


この疑問を、実際に試してみた人がいます。

彼の名は Rudolf Stingel(ルドルフ・スティンゲル)。

1956年にイタリアで生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動をしています。


初期のころは、シルバーでメタリックな絵をたくさん描いていました。

画面にガーゼの切れ端を置き、その上から銀の塗料をスプレー。

そのあとでガーゼを取ったら、いぶし銀な作品の出来あがり。

 

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やがて、ルドルフさんは「絵ってなんや??」という疑問を感じます。

壁に色を塗ったら、絵になる。

床に塗っても絵にはならない。

床に色があると、カーペットだと思われる。

じゃあ、床と壁をぜんぶおなじ柄で塗ってみたらどうなるんや??

それは、絵なんか??


それが本日の1品。

 

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床も壁も、ぜんぶおなじカーペットの柄で覆ってみました!

 

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さ、雪が降ったらいろいろ大変ですが、楽しみましょう。