くま美術史

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古いけれど、古臭くはない【1日1品】

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どっかで見たことあるかも。


Thomas Houseago(トーマス・ハウシーゴ)の彫刻は、新しいんだけど、どっかで見たことあるかもって思うような彫刻をつくっています。

1972年にイギリスで生まれたハウシーゴさんは、オランダに渡り、ベルギーに渡り、今はアメリカのロサンゼルスに住んでいます。

国籍までアメリカに移しているようです。


彼は伝統を重んじるタイプのようで、それこそギリシャ・ローマの昔から、キュビズムとか、 フトゥリズムとかのわりと新しいものまでをきちんと勉強し、影響を受けまくりつつも自分のオリジナルな作品を作っています。

同年代や、ちょっと上の世代のアーティストとの交流も盛んで、マルレーネ・デュマスやリュック・タイマンスなど、今では巨匠といわれるようなアーティストに師事していたりしました。


特にドラマチックな人生ではないですし、作品もストレートな現代彫刻って感じなので、王道のアーティストと言えます。

王道らしく、早くから多くのファンを獲得し、売れに売れているアーティストです。


本日の1品は「Masks(Pentagon)」です。

 

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これね。

すごいんですよ。

こんな感じの彫刻って、なんか、地方の文化ホールとか、公園とかに行くと置かれていそうな雰囲気がありますよね。

そうなんです。

ちょっと古臭い感じなんですよ。

なんというんだろう……

「真面目なアート」って雰囲気がプンプンしてきて、1歩間違うととんでもなくダサくなる。

現に、そこらへんに置かれているこんな感じの彫刻はだいたいダサい。

 

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ただ、ハウシーゴさんは、絶妙にまとめあげています。

輝きまくっている。

過ぎ去った時代の彫刻技法をふまえつつ超今っぽい。


ものすごく「玄人うけ」する彫刻ですね。

これはつくれない。