くま美術史

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私たちは情報そのものである【1日1品】

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ビッグデータ型アーティスト。


本日は R. Luke DuBois(R・ルーク・デュボイ)さん。

1975年生まれの、のっぺりした顔を持つアーティストです。

初期はコンピューターで音楽をつくる最先端系ミュージックを大学で学び、卒業後は講師として教えていました。

そこで、プログラミングを通して表現をしていくことにハマり、アートの分野に移っていきます。


アメリカは民主主義の国。

今のところは。

明日の選挙までは、とりあえず民主主義の国。

そのあとはどうなるんでしょうね。


とにかく、民主主義の根幹は「数の力」です。

よりたくさんの意見をひとつの方向にまとめられたものが、力を持ちます。

そうなると、まぁ、いろいろな問題が出てきます。

ええ。ええ。

トランプみたいなんも出てくるわけですわ。


それはおいておいて。

その、多数決の力や、思考のベクトル、多数決の問題、情報の広がり、社会のルールや倫理感。

これらを、ビッグなデータをつかって見えるようにしようというのが、デュボイさんのアートです。


つまりこんな作品。

「Self-portrait」

意味は、自画像です。

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ここに書かれているのは、デュボイさんがこの20年間にプライベートで実際に使用していたメールアドレスをつかって送受信したデータの流れが、ここに書かれています。

近づくとこんな感じ。

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自分とは、人とのつながりの中に存在し、現代におけるつながりとはデータの交換です。

という、ものすごくドライな自画像です。


でも、たしかにこれは彼そのもの。

人は、ある意味データなんですということが表されています。


われわれの「人格」というとっても情緒的なものは、実はデータの流れである。

でも、ひとつポイントがあって、人物名はすべて手書きで書かれているんです。

うーん。

哲学やな。