くま美術史

くま美術店の公式ブログです。するりとわかる美術史や、笑える美術の展覧会情報などをお届けしていきます。公式販売サイト「くま美術店」http://kuma-bijutsu.jp/

銀座の宝石箱に歩くカタツムリ。壁にはワインの染み【1日1品】

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生きている!!


銀座の4丁目に宝石箱のようなビルが建っています。

高級ブランド「エルメス」の銀座店、「メゾン・エルメス」です。

この建物の8階はアートギャラリーになっています。

天井の高い贅沢な空間には、世界で活躍するアーティストの作品が設置されています。


ここに、今、カタツムリがうろうろしています。


Michel Blazy(ミシェル・ブラジー)は1966にモナコで生まれ、現在はパリを拠点に活動をしているアーティストです。

彼女の作品は「実験的」であり、生きている動物や植物とのコラボレーションでなりたっています。


どういうことかというと、掲題の作品がこれ。

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カーペットが天井まで伸び、その上をカタツムリが自由に動いています。

その足跡(?)が、キラキラとした線で残っています。

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あとは、家電製品から草が生えた作品とか、チョコレートで描き、ネズミにかじらせた絵画とか。

とにかく、可愛かったです。

もちろん、カタツムリは連れてこられて迷惑だと思いますが……


本日の一品は「Test of red wine on the wall」

赤ワインの壁面テストです。

あれ? これ、作品名じゃないかも。

まぁ、いいや。

グラスに入った赤ワインと壁がつながっていて、吸いこまれて広がっています。

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これよかったわぁ。

 

だんだんワインの量が少なくなるので、継ぎ足され、どんどん変わっていくらしい。


「自然」って言葉は腐るほどいろいろなところで使われています。

ですが、守備範囲が広すぎて、その実態がわかりにくいです。

8,000メートル峰の上の方も自然だし、深海も自然だし、ジャングルも、森も、ツンドラも、北極も、ぜんぶ自然です。

でも、そういった特別な地域ではなく、家の中にも自然は入ってきています。

虫や、ネズミ、日の光や、冷たい風。

 

こういったものも、すべて「自然」です。


だから「自然を守ろう!」という言葉に違和感があります。

良いことを言っている風だけど、自然の対象がひどく乱暴に決められ、1番近くにいる自然へ目が向いてないんじゃないかと思います。


ミシェルさんは、自然を守るのではなく、ともに暮らしています。

いっしょに作品をつくり、生計をたてています。

この関係は、すごく素敵だなとおもいました。

もちろん、カタツムリは迷惑だと思いますが、それも仕方ない。


ということで「びじゅアツー」したいなと思います。

みんなで「メゾン・エルメス」に行きましょう。

詳細は追って報告します。