くま美術史

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ぐにゃっとした鹿の角【1日1品】

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奈良に行きたくなりました。

嘘です。


昔、おじいちゃんが山で拾ってきた鹿の角が、タンスの上にいくつもありました。

子どもながらに、かっこよさと同時に、触っちゃいけない畏れみたいなものを感じていました。


本日の1品は、韓国系アメリカ人のマイケル・ジョさんの「Flawed / Empowered 」です。

 

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直訳すると「ひび割れ / 権限を与えられた」。

ウレタン樹脂(プラスチックみたいなもの)で鹿の角をつくるのですが、本物の鹿の角よりも長くてぐにゃっとしています。


鹿は成長にしたがって角が生えかわります。

なので、鹿の角は、肉体は成長(改善)すると同時に、何かを失っているってことが表されています。

また、成長なんだけれど、時間が経つということは、死へ向かっていることと同じです。

 

つまり

改善 = 損失

成長 = 死への進行

という、すごく矛盾しているけれど、生物としては避けられない宿命みたいなものを、人口の鹿の角で表現しています。


おもしろい。

面白いんだけれども、ちょっとカッコつけすぎな感じもします。

いや、いいんだけどねぇ。