くま美術史

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かわいいは、怖い【1日1品】

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ぬいぐるみって、なんか怖い時あるよね。

 

ホラー映画の女の子は、だいたいぬいぐるみを持ちながら、恐怖なことをしている気がします。

かわいい見た目のはずなのに、そこはかとない不安感をおぼえるアイテム。それがぬいぐるみです。


1962年、ケニアで生まれたコシマ・フォン・ボニンは、かわいくて恐ろしい作品を作る女性アーティストです。

ぬいぐるみの作品が有名ですが、それ以外にも絵や、写真や、映像や、音楽。

さらに他のアーティストとコラボしたり、他のアーティストをプロデュースしたり、やりたいことなんでもやるタイプの人です。


本日の1品は、「The Bonin/Oswald Empire’s Nothing #05,」

訳すと「ボニン/オズワルト帝国の虚 5番」かな。

なんのことかわからん。怖い。

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見てください。

このヤドカリの、生気のない目。

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なんで、机の脚によりかかってるの?

どうしたの?

なんなの??

やめてーっ!!

という感じの雰囲気です。


ボニンさんの作品は「海」がテーマになっています。

ただのきれいだねって海ではなく、生き物が生まれて、死んでいく場所。

深い深い海です。

 

群馬県(海ない)出身の私もよく思うのですが、海はむちゃくちゃ怖いです。

海で遊んでいると、たまに我に返って、死ぬんじゃないかって思うことがあります。

海、怖い。


この、恐怖って感覚は人間が感じるいろいろなものの中でも独特で、すごくデリケートなものです。

ホラー映画って、1歩間違えると、ギャグみたいになってしまうし、かと思えば、ぬいぐるみが怖いみたいな、本当は怖いものじゃないものが怖い時もある。

テーマパークは、楽しさを提供する場所なのに、お化け屋敷や絶叫マシーンで恐怖体験を提供している。

怖いって感覚と、その周りにあるものって、ものすごく複雑でデリケートなんです。


この、ボニンさんは、すごく上手に「怖さ」をかたちにしているところがすごい。

ただ、おどろおどろしいのが怖さではなく、本当の怖さって静かに笑顔で近づいてくる不気味なものって感じが、すごくうまい。

まじ、怖い。

ボニン、怖い、ボニン。

 

ちなみにこんな作品もつくっています。

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「ロマンスは十分だ。さぁ、ヤろうぜ!」

なんてこと言ってんねん。


それにしても、かわいさと、恐ろしさって、かなり近いところにある気がします。

今度、ディズニーランドを「恐怖」の対象で見てみようツアーとかやろうかな。

共感してくれる人、いるかな。


ちなみに直近では、天王洲へアートな遠足に出かけます。(宣伝です)

 

以下詳細です。

びじゅツアー「寺田アートコンプレックスへ」

行き先:TERADA Art Complex(天王洲、寺田倉庫内)

日時:2016年10月8日(土) 14:00〜16:00

参加費:無料(ギャラリーは入場料も無料です)

集合時間:14:00

集合場所:品川駅の中央改札を出た「時計」

ご質問などは以下に〜

r.araki@kuma-bijutsu.jp