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くま美術史

くま美術店の公式ブログです。するりとわかる美術史や、笑える美術の展覧会情報などをお届けしていきます。公式販売サイト「くま美術店」http://kuma-bijutsu.jp/

見ようとしたら、見えるっ【1日1品】

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能天気な顔。

彼は人類史上、最も能天気なスタイルで、作品を量産するマーティン・クリードです。


マーティン・クリードの作品は、美術というよりは音楽に近いなって思います。

それも、DJとか、DTMみたいな、音を集めてくっつけるみたいなやり方の音楽に近いです。

どういうことかというと、例えばこんな感じ。


「Work No. 227, The lights going on and off」(作品番号227 ライトが点いたり消えたり)

美術館の一室に入ると、そこには何も置いてありません。

天井のライトが、5秒おきに点いたり消えたりします。

www.youtube.com


これは盛り上がるね!!

 

もしくは


「Work No. 850」(タイトルはこれだけ)

これは、美術館の中を、一定の間隔で、ランナーが全力疾走するという作品です。

美術館の中を、全力で、走るんです。

我々は、それを静かに眺めます。

www.youtube.com

これは感動だね!

 

もしくは、これ。

 

「Work No. 268, Half the air in a given space」(その部屋の空気の半分)

美術館の一室を、風船が埋め尽くしている作品です。

今日の1品はこれです。

www.youtube.com


楽しそうですよね。

見ての通り、なんの変哲もない大量の風船が部屋に入れられています。

そこを、かきわけて進んでいく作品。


これがなんで美術なの?? っていい質問をセンキュー。


美術とは、見えないものや、見えにくいものを、見えるようにすることです。

マーティン・クリードはまさにこれ。


普段は見えにくいものを、すごく見えやすくしているのです。

例えば、最初の電気が点いたり消えたりする作品は「空間」っていうなんとなく理解できるけど、どう説明していいかわからないものを、すごくわかりやすくしています。

「光の当たったところが、この部屋の空間です」というように。


次のランナーが走る作品は、モラルやマナー、ルールが見えるようになります。

美術館は、走ってはいけないところです。

美術館以外にも、走ってはいけない場所は多くあります。

でも、走ることは、悪いことではなく、いいことだと言われます。

いいと、悪いの間には、何があるのかを、見えるようにしているのです。


そして、風船。

これが一番わかりやすい。

これは、部屋の空気を見えるようにしています。

そのまま。

風船がなければ、この部屋は「なにもない部屋」と言われたと思います。

本当は、しっかり空気があります。


見えないのではなくて、見ようとしていないだけ。

意識すれば、そこにはいろいろなものがある。

と、マーティンは言っている気がします。