くま美術史

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男子の秘孔を突くアート【1日1品】

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男の子の口がふさがらず、よだれがオロオロ出つづける。

 

本日の1品はメキシコ人アーティスト、ダミアン・オルテガの「Cosmic Thing」。

直訳すると「宇宙のこと」。


オルテガさんはもともと漫画を描いていて、ある時から美術作品を作りはじめました。

本人もコミカルな感じですね。

 

よく、漫画に出てくるロボットの内部メカニックが透けて描かれることがあります。

例えば「アトム」だったらこんな感じで。

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Cosmic Thing」は、この漫画的な表現をリアルにやってみました。という作品です。

はいこれ!

 

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配置の仕方は、車の設計図を基にしています。

こうすると、ただの乗り物だった車が、乗れなくなります。

そのかわりに、あらためて自動車は人が作ったものなんだなという当たり前のことが実感できます。

これがけっこう面白い。

自動車を誰かが作っているなんてことは、誰でも知っています。

誰かが作らなければ、自動車はありません。

でも、街で大量の自動車を見ると、まるで自動車は勝手に湧いてくるような錯覚があります。

と言うより、自動車がそこに有ることも、そこからなくなるかもしれないことも、普段はまったく考えません。

自動車は、なんとなくそこにあって、なんとなく使われて終わりです。


オルテガさんは、

「それっておかしくない?どんなもんでも、誰かが必要として、誰かが作って、今ここに有るんだよ。人間は、ただ移動をしたいって目的のために、こんなに複雑なものを大量に作っているんだよ。これってすごくない?」

ということを言っています。

 

車という、今の人類の生活に欠かせないアイテムを、あらためて意識させるために、解体して、展示したのです。

そうすることで、けっきょく人が生きるってどういうことなの?? ってことまで考えられるわけです。

考えすぎ!!


でも、かっこいいから。

これ、男子にはたまらないかっこよさがあるから。

とにかく見ていられる!

日本に常設展示してくれないかな。

 

最後に、このダミアンさん。

やっぱりイカれた人で、最初の作品は「トルティーヤを硬めに焼いて組み合わせる」という、わけのわからないものを作っていました。

メキシコ人にとっては大事らしいですよ、トルティーヤ