読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

くま美術史

くま美術店の公式ブログです。するりとわかる美術史や、笑える美術の展覧会情報などをお届けしていきます。公式販売サイト「くま美術店」http://kuma-bijutsu.jp/

川の水が流れる部屋【1日1品】

f:id:kuma-bijutsu:20160917195148j:plain

 

スマートなだけでなくクレイジー。

 

曾建華 (ツァン・キンファ)は1976年に中国の広東省で生まれ、香港の芸術大学で学んだ後にロンドンの芸術大学院を出ました。

作品の裏側がまぁ、小難しく。

ニーチェが大好きな彼はその言葉からインスピレーションを受けたり、引用しまくったりしています。

 

現代のアーティストとしてはめずらしく、自分の作品を売ることに熱心ではありません。

にもかかわらず、2015年のベネツィアビエンナーレに出品して以降は、世界中の美術館やコレクターからオファーが相次いでいます。

また、アメリカ政府から「今年の一番重要な文化プロジェクトは、ツァン・キンを援助することだ」と言われるほど、もう、よくわからないカリスマ的な人気を得ています。


それも、この映像を見てもらえば納得。

本日の1品は、ツァン・キンファの「The Infinite Nothing」です。

www.youtube.com


直訳すると、無限の虚無。

建物の内部に映像を映している作品です。

これ全部でひとつの作品。

確かに、まぁ、買えないわな。


その作り方もクレイジー。

 

彼はまず、インターネットで文章を拾いまくって来るそうです。

この作品では、古代ギリシャ神話のシーシュポスという神様の話や、日本の神風特攻隊の話、さらに、1775個におよぶ自殺について書かれたエッセイを集めて、自分のパソコンのデスクトップにつくった「nothing」というフォルダーの中に入れます。

それを読んでイメージしたものを映像化したり、テキストをそのまま流したりしているのです。


いや、考えすぎだろうって思うんです。

こんなことばっかりしていて、生きててつらくないか心配です。

だからこそ、この、一歩間違えればおしゃれなだけで終わってしまうような映像が、とんでもない迫力になるんだなって思います。

f:id:kuma-bijutsu:20160917195355p:plain

こんなことできないよね。

素直にかっこいいわ。

最初の、部屋が川になっているのとか、心地よさと、なんだか言いようのない不安感が、癖になりそう。