ニコラス・セロータの退任【1日1品】
イギリスに「Tate」(テート)という国立美術館のネットワークがあります。
テート・ブリテン
テート・モダン
テート・リバプール
テート・アイヴス
そしてウェブページの「テート・オンライン」を合わせて5つの美術館からなるグループです。
特にテート・モダンは有名で、世界中からたくさんの人が訪れる、イギリスを代表する美術館です。年間来場者数は約600万人。
もともとイギリスには、近現代(戦前〜現代まで)の作品をコレクションする世界的に有名な美術館がありませんでした。
ニューヨークには「MoMA」(ニューヨーク近代美術館)、パリには「ポンピドゥー・センター」があるのに、イギリスにはそれらに比肩する美術館がなかったのです。
じゃあ、作ろう! ということになり、2000年に完成しました。
この「テート」のトップに君臨し、「テート・モダン」を作ってきたのがサー・ニコラス・セロータです。
日本だと、国立美術館の館長や、文化庁の長官が注目されることはありませんが、欧米の大きな美術館のトップは世間から強い期待と注目をあびます。
特にこのセロータさんは有名で、2002年以来「Power100」の5位以内に入りつづけています。
(「Power100」とは、「Art Review」という雑誌が発表しているアート業界への影響力ランキング。そういうものがあるのも笑えますが、このランキングの上位人が持つ知名度と影響力は、本格的に笑えるくらい大きいです)
世界的な美術館をつくりあげた功績を考えれば、妥当な評価です。
「MoMA」ぐらい有名な美術館作ってねって言われて、実際につくれる人は、ほとんどいないと思います。
そのセロータさんが、退任します。
ちょうど御年70になられるそうで、順当な退任のようです。
テート・モダンも新館ができる予定ですし、ちょうどいい時期なのかもしれません。
お疲れ様! セロータ!
日本の老人は、縁側でお茶をすることを生業とします。機会があれば、縁側でお茶をしましょう!
ということで、本日はセロータゆかりのテート・モダンから1品。
カールステン・フラーの「Slides」(すべり台)
そのため、建物の中心部は、タービンを置くための巨大な吹き抜けの空間が広がっています。
たぶん、美術品の屋内展示スペースとしては、世界最大じゃないかな。
ここに、いろいろなアーティストが交代で作品を設置するのですが、どれも大規模でわくわくします!
2006年は、カールステン・フラーさんが、実際に滑ることができる巨大なすべり台を設置しました。
やっほいビッグ美術館!