美術作品の見方は人それぞれではないし、自由じゃない【1日1品】
説明むすかしい!
本日は、ダブリンのアーティスト、イザベル・ノーランを。
ちょっとややこしい人なので、説明が難しいです。がんばります。
読んでくれる方も、ちょっとノーランの作品を見て、彼女がなにを言いたいのか考えてみてください。
ノーランは、前近代的なパターンメーキングの技術と、職人の技を、もう一回しっかり考えたいって言っています。
また、宇宙に興味があり、自然にも興味があり、トーマス・ハーディーという詩人の詩が大好きです。
そして、「The Weakened Eye of Day」(弱体化する目の日)というわけのわからないことを言っています。
(私が訳せないだけ?? もっと適当な言い回しがあれば教えてください)
そういったもろもろを、表現したいらしい。
うん。
これだけ聞くと、なんのこっちゃって話です。
でも、芸術のいいところは、「かたち」が目の前にでてくること。
ドン!
こうやって、何かが見えると、言っていることが少しづつ見えてきます。
ゆるっとした布が、ふわっとした色で染められ、吊るされています。
そう言われれば、たしかに詩的だし、宇宙っぽいかも。
タイトルは「Fresh disorder diminishing energy」(新鮮な混乱の減少するエネルギー)という名前がつけられています。
こう、癌のような、すごくいびつな悪いものが、少しづつ小さくなっていくようなイメージ??
もしくは、過激なデモ隊が暴徒化し、それがだんだん落ち着いていく感じ??
私はこの作品を考えると、うちの親父が脳卒中で倒れ、三日間は意識が戻らず、家族大混乱でむちゃくちゃ大変だったけど、死ぬ瞬間は妙に落ち着いたもので。
父親が死ぬ瞬間の、病院の窓から見えた夕日は忘れられないぐらい美しくって、その夕日をなんとなく思い出します。
だから、いい作品なんですよね。
この感想は、わりとノーランの言いたいことと合っているんじゃないかなって思います。
「芸術の捉え方は自由だ。人それぞれだ」ってよく言いますが、私はそうは思いません。
作者には、ちゃんと言いたいことがあって、でも、それを言葉であらわすと複雑すぎて伝わらないから、別のかたちで伝えているものが作品です。
だから、見る側もできるだけ作者の言いたいことはなんだろうって考えて欲しい。
美術って、すごくすごく複雑なものです。
だからこそ、「なんとなくこの作品は気になるな」って思ったら、立ち止まってタイトル眺めて、う〜んって唸って、脳の右も左もしっかり使って、作者の言いたいことを聞いてあげてほしい。
そうすると、自分の中にあったすごく大切な何かが、鮮明に現れてきたりして、楽しい。
もちろんなにも現れないこともある。(その方が多い)
そういう時は、時間の無駄だったなと思って、素早く忘れます。