くま美術史

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18のころ、モネに出会えて今も幸せ【1日1品】

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2003年、大学1回生の秋、オープンしたばかりの「森美術館」に行った。

今思うと豪華な幕開けの展覧会で、世界の最前線で活躍するようなアーティストの作品が集まっていたが、当時はよくわからなかった。

大学に入りたての18歳には、世界で活躍するアーティストや、美術市場のことなんてさっぱり。

もったいないことに、あの展覧会に並べられた当時世界最先端で最高峰の作品たちのことは、ほとんど覚えていない。

「いいな」と思う作品もあったと思うが、今まで生きていた世界と違いすぎて、うまく受け入れられなかったのだ。

群馬の山奥でクマやカエルと一緒に育った私には、クリス・オフィリなどは都会っぽすぎていたんだと思う。


ただ、入り口を入ってすぐに設置されたモネの「睡蓮」だけは、鮮明に覚えている。

正方形の大きなキャンバスに、強い青色がふかーく塗られていた。

青の中に、ヌラッと葉っぱが浮かび、ポンポンと黄色や紫の花が咲いている。

見た瞬間に鳥肌がブワッと浮かんできて寒気を感じる。反面、体の中心は2度ぐらい体温が上がり、熱を感じる。

絵が体を突き抜けていく感覚におそわれ、数分間は呆けたように突っ立っていたと思う。そんな衝撃だった。

私が美術にハマるきっかけのひとつの体験。

 

画像だとそこまでじゃないと思う。

本物を見てくれ、ほんものはすごいぞ。

 

モネは1840年に生まれ、1926年に86歳で亡くなっている。

1883年以降は、お気に入りの庭にひきこもって、ずっと睡蓮を描き続けた。

そのうちのいくつかは日本に置かれている。

あの「睡蓮」も、普段はアサヒビールが運営する、京都の「大山崎山荘美術館」が持っている作品らしい。

それを「森美術館」がレンタルし、私が見た。


先日、香川県の直島にある「地中美術館」でも、モネの「睡蓮」を見た。

パリのオランジュリーでも、ニューヨークのMOMAでも見た。

「いい睡蓮があるよ!」と言われれば、見に行くようにしている。

その度に感動しているし、これからも感動し続けると思う。

18のころ、モネに出会えて今も幸せ。