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くま美術史

くま美術店の公式ブログです。するりとわかる美術史や、笑える美術の展覧会情報などをお届けしていきます。公式販売サイト「くま美術店」http://kuma-bijutsu.jp/

一枚の絵がクリエイティブな発想をあなたのもとに

f:id:kuma-bijutsu:20151126232642j:plain最近、こんなことを聞かれました。

「絵を部屋においたら、クリエイティブな発想が浮かんできたりしますか?」

 

浮かびません。

絶対に、浮かびません。

 

置いただけで新しい発想が……。

それって、持っているだけで幸福になる壺とか、数珠とか、その類のものです。

そんなのありません。

 

でも、そうやって売られている物ってけっこうありますよね。

よくあるのが本。

「ビジネスマン必読! これを読めば不思議なくらい仕事ができるようになる! 」みたいな。

 

なりませんよ。

 

一冊の本で、人生が変わることもあります。

でも、それは、その本の前に、何百冊もの本や、たくさんの経験が積まれ、その上で鍵となる一冊が扉を開いてくれただけ。

本当に大切なものは、自分自信の中に貯まっているはずです。

貯まっていたものをうまく引き出してくれたのが、一冊の本だっただけです。

 

だから、

「一枚の絵が人生を変える」

みたいなこともありません。

 

恥ずかしげもなく、こういうこと言えたら楽だなと思います。

当たり障りなくかっこいいし、なんかクリエイティブって感じがする。

 

でも、これ言いだすと、誠実さのかけらも無くなっていくんで、私は言いません。

一枚の絵は、ただのキャンバスと絵の具です。

役になんて立たない。

無益。

 

ただ、100枚の絵は人を変える可能性があります。

100枚の絵と、旅先の思い出と、故郷の美しい風景がつながれば、そこには何かがあると思います。

 

重要なのは知識の量と、そこから考えることです。

そして、考えたあとの行動です。

少しのものを、買っただけ、見ただけ、読んだだけで何かが変わるはずありません。

 

だから、なにも考えない人にとって、美術は無駄なものなんです。

とにかく役には立たないし、わかりやすいヒントもない。

 

でも、役立たずで、理解しにくいものって、大事だと思うんです。

 

ほら、クソみたいなバンドマンと付き合うって、一見無駄な行動じゃないですか。

「なんで将来有望なKOボーイと付き合えばよかった」

「商社マンと出会っておけばよかった」

アホな疑問ですが、こう思うのもわかります。

 

でも、クソみたいなミュージシャンと付き合ったおかげで、自分の価値観や人生に疑問を持ち、どうありたいのかを考えるきっかけにはなると思います。

 

そして、そのあとはKOボーイとか、商社マンとかに手を出し、とんだステレオタイプの自意識過剰先生で、意外になんの才能もないことにげんなりし、またあらためて自分の価値観を見つめ直すんだと思います。

 

トライandエラーではなく、エラーがあるから人はトライをしていくんだと思います。

 

話を戻します。

 

美術品をちょっと見たって、何も変わらない。

特に「わー!綺麗!」なんていうものを見ても無駄。

 

ただ、とんでもなく理解不能な美術と、一瞬でも本気でむきあえば、自分のなかで新しいなにかが、出てくるかもしれない…かもしれない。

 

美術品は、人の人生の失敗や挫折の集合体。

失敗は、とても美しいものなんです。

Error is beautiful

くま美術店でした。