くま美術史

くま美術店の公式ブログです。するりとわかる美術史や、笑える美術の展覧会情報などをお届けしていきます。公式販売サイト「くま美術店」http://kuma-bijutsu.jp/

1日1品

時間がないという人におすすめ【1日1品】

瞬間型アーティスト。 本日はKevin Beasley(ケビン・ビーズリー)さん。 1985年にバージニア州のリンチバーグというところで生まれたアーティストです。 今日は短めでいきます。 なぜなら彼は瞬間型彫刻アーティストだから。 美術は、目に見えないものや見…

悪役の魅力について【1日1品】

美術品って高すぎる 先日のびじゅツアーで、参加者の方々から最も多く出た質問は「どうして美術はこんなに高いの?」ってことでした。 確かに高い。 最近は高すぎて、話題のアーティストは美術館の予算での購入が難しくなってきています。 美術品なのに、美…

壊されるものと作る人【1日1品】

アレッポ。 おそらく、現時点で地球上でもっとも破壊活動が行われている場所はシリア第2の都市アレッポです。 10月8日に、国連安全保障理事会が開かれ、ロシア軍とアサド政権軍による空爆の停止決議を採決しましたが、合意にはいたりませんでした。 アレッポ…

2016年も、ターナー賞は元気です【1日1品】

今年もターナー賞は盛り上がっています。 イギリスにターナー賞というアートのコンクールがあります。 イギリスでターナーといえば、19世紀を代表する画家「ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー」です。 そのターナーのように、世界的に活躍するイギリ…

彫刻家のコンプレックスを刺激するもの【1日1品】

建築家はずるい。 われわれ彫刻家は声を大にしていいたい。 建築家はずるいです! 彫刻って、いろいろな美術の中でも「かっこいい」と言われることが多いんです。 というか、かっこいいんです。 肉体を使って、むちゃくちゃ重くて硬いもののかたちをゴリゴリ…

東洋の思想と、西洋のアートが…出会ったぁ【1日1品】

フォーエバー仏教。 突然ですが、鈴木大拙さんという仏教者を知っていますか? 私、知りませんでした。 不勉強でホントすみません。勉強します。 本日は、Agnes Martin(アグネス・マーティン)というカナダで生まれたアメリカの女性アーティストなのですが…

自由も差別もある。アメリカはややこしい国【1日1品】

アメリカン!!! まだまだアメリカにはドリームがあるようです。 この地味な青年。 名前は Ryan Trecartin(ライアン・トゥリカーティン)。 1981年にテキサスで生まれたアーティストです。 なんだか知らないけれど、幼いころから「パフォーマンス」が大好…

くり返しくり返しくり返しくり返し【1日1品】

女性、それは謎。 今、アジアで最も注目されるアーティストのひとりがマリア・タニグチです。 タニグチという姓から日本人との関連が予想されますが、本人は生粋のマニラっ子(そんな言葉があるか知りませんが)。 今も、生活と作品制作の中心はフィリピンの…

1セント銅貨でつくられた自由の女神【1日1品】

自己表現で飯は食えない。 それはその通りで、いきなり知らん奴に「これが本当の僕だよ」って言われたら、引きますよね。 関心を持っていない人間の内側なんて、ちょっと気持ちわるいです。 でも、彼の自己表現は、多くの人に絶賛されています。 彼という人…

アーティストの頭の中【1日1品】

今日は、わかりやすい!って言わせます。 本日はTauba Auerbach(トウバ・アウエルバッハ)さんです。 1981年にサンフランシスコで生まれた女性アーティストです。 本日の1品は、「Untitled (Fold)」というこちらの作品です。 うん。まぁ、きれいだけど、な…

美術が好きな人はドM【1日1品】

パワープレイが過ぎる! 褒め言葉です。 本日の1品は、フランス人アーティスト Pierre Huyghe(ピエール・ユイグ)の「Untilled」(無題)です。 横たわった女の人の頭に、蜂(ミツバチ)がたくさんついています。 この蜂、生きています。 というか、この彫…

彫刻は怖い夢のように【1日1品】

夢に出てきそう! 小さな頃、繰り返し見た怖い夢があります。 薄いクリーム色の大きなドーナツのような形が目の前にあり、なんだか息苦しくなるという夢です。 正確に言うと、ドーナツではなく、ケンタッキーフライドチキンで売っている「ビスケット」のよう…

ファンキー、センキュー、ファンキー【1日1品】

世界に感謝!! 本日はちょっと短めです。 なぜなら私の誕生日で、ディナーに出かけているためです。 センキューワールド! 生まれてきてよかったよ! この記念すべき日に、どんなアーティストのことを書こうかなと考えていました。 やっぱり古代ギリシャと…

必要なのは、安心して暮らせる場所【1日1品】

お魚大好き。 なぜか昨年の末ぐらいから築地市場に行く機会が増えています。 いやぁ、あれですね。 こんな始まり方すると、やっぱり書きにくい(笑) もちろん新聞や雑誌ではなく、ただの個人ブログなのだから好き放題言いたい放題書けばいいんですが、社会…

テレビとアートの距離感【1日1品】

これはオランダのコメディアンであるシッパーズです。 それはそうと、野性爆弾の川島さんが好きです。 あの人、すごくないですか。 なぜいきなりそんなことをというと、本日の1品はWim T. Schippers(ウィム・T・シッパーズ)の「Pindakaasvloer」だからです…

エロい絵【1日1品】

だから「フランダース」のネロも、最後にルーベンスの絵をご所望だったのですね。 セシリー・ブラウンは、1969年にロンドンで生まれた女性のアーティストです。 最近の画家の中では珍しく、昔の巨匠たちの描き方を踏襲しまくって絵にしています。 影響をうけ…

氷の愛嬌、ダンディズム【1日1品】

アラン・カプローを知っていますか? カプローは1927年にアメリカで生まれました。 大学でアートを学んだ後、別の大学で有名なジョン・ケージから音楽を学びました。 ピアノの前に座ってなにも弾かないことで有名なジョン・ケージです。 結果、カプローは「…

ぐにゃっとした鹿の角【1日1品】

奈良に行きたくなりました。 嘘です。 昔、おじいちゃんが山で拾ってきた鹿の角が、タンスの上にいくつもありました。 子どもながらに、かっこよさと同時に、触っちゃいけない畏れみたいなものを感じていました。 本日の1品は、韓国系アメリカ人のマイケル・…

追悼。ハッサン・シャリフについて【1日1品】

偉大な方でした。 美術は、リレーのように3万6000年ぐらい(少なくとも)続いています。 たくさんの人が自分の時代を反映した作品をつくることで、美術は少しづつ変化し、パスされ、つながっていった歴史があります。 すごいのは、世界中、どの時代にも、誰…

かわいいは、怖い【1日1品】

www.instagram.com ぬいぐるみって、なんか怖い時あるよね。 ホラー映画の女の子は、だいたいぬいぐるみを持ちながら、恐怖なことをしている気がします。 かわいい見た目のはずなのに、そこはかとない不安感をおぼえるアイテム。それがぬいぐるみです。 1962…

2重のナチュラル【1日1品】

www.instagram.com 遠足、行こ!! 本日は最後に宣伝も。 淺井裕介。 おそらくあと数年後には、村上隆や奈良美智、会田誠らと同じぐらいのインパクトで、淺井裕介の名前が呼ばれる日がくると思います。 そのぐらい作品がいい。 むっちゃいい。 本日の一品は…

見ようとしたら、見えるっ【1日1品】

能天気な顔。 彼は人類史上、最も能天気なスタイルで、作品を量産するマーティン・クリードです。 マーティン・クリードの作品は、美術というよりは音楽に近いなって思います。 それも、DJとか、DTMみたいな、音を集めてくっつけるみたいなやり方の音楽に近…

パンク野郎はけっこう好かれる【1日1品】

ロシアのプーチンじゃないよ。ウールだよ。 にわかに、クリストファー・ウールが脚光を浴びています。 きっかけは、芸能人の紗栄子さん(モデル? )という人がインスタグラムに投稿した1枚の写真。 www.instagram.com ここに写っている絵が、とんでもないも…

男子の秘孔を突くアート【1日1品】

男の子の口がふさがらず、よだれがオロオロ出つづける。 本日の1品はメキシコ人アーティスト、ダミアン・オルテガの「Cosmic Thing」。 直訳すると「宇宙のこと」。 オルテガさんはもともと漫画を描いていて、ある時から美術作品を作りはじめました。 本人も…

夢の世界に行きたかったのに……【1日1品】

これが木でできているって信じられます? 今日は上野にある東京都美術館で開催中の「木々との対話」というショーを見てきました。 その名の通り、木を素材に扱っている現代の作家5人の作品が集まっています。 トップの画像は須田悦弘さんの「薔薇」です。 で…

川の水が流れる部屋【1日1品】

スマートなだけでなくクレイジー。 曾建華 (ツァン・キンファ)は1976年に中国の広東省で生まれ、香港の芸術大学で学んだ後にロンドンの芸術大学院を出ました。 作品の裏側がまぁ、小難しく。 ニーチェが大好きな彼はその言葉からインスピレーションを受け…

深くてゆったりな黒人の絵【1日1品】

www.instagram.com ドープでかつチルな感じ。 ついこの間「人種差別とか黒人の問題とかはよくわからん」ということを書きました。 今もよくわからないんですが、わからないことを調べるのはとっても楽しいことなので、少しだけアメリカの若手黒人アーティス…

美術vs技術【1日1品】

話題のVRじゃないぜ! アートってなんのためにあるの?って質問は、とっても難しい質問です。 これだけ工業的な技術が進歩してくると、ものを作るのも人の手より工作機械の方が確かかもしれないし、魔法のような世界を映像で作り出す技術もどんどん進化して…

やりきった感のある顔【1日1品】

目、怖! 张洹(ジャン・ホワン)は、中国のアーティストです。 河南省で生まれ、上海とニューヨークを拠点に活動しています。 中国のアーティスト?? 水墨画とか?って思われる方もいるでしょうが、現代美術の世界マーケットでは中国人の動向が最も注目を…

人種差別とキラキラ【1日1品】

とびきりリッチ。 現代のアメリカを代表するアーティスト、ラッシード・ジョンソンが美術界で活躍しはじめたころ、ニューヨークタイムズが彼の作品を評した言葉です。 その後のラッシードの活躍も、驚異的なまでに華々しいものとなります。 アメリカの名だた…