くま美術史

くま美術店の公式ブログです。するりとわかる美術史や、笑える美術の展覧会情報などをお届けしていきます。公式販売サイト「くま美術店」http://kuma-bijutsu.jp/

シグマー・ポルケ【昨今のアートワールド】

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本日は、大好きなドイツの画家 Sigmar Polke(シグマー・ポルケ)の誕生日でした。おめでとうございます!

 

1941年に生まれたそうなので、生きていれば76歳。じゅうぶんに生きている可能性もある年齢ですが、残念ながら7年前に彼は他界しています。

 

今の時代に、後世に残すべきものがあるとするなら、ポルケの絵はそのひとつだと思っています。

 

はじめて見たのはウィーンの美術館。生で見たクリムトの絵の衝撃が大きすぎて、他の作家の作品がまったく心に刺さらなかったのに、ポルケだけはまったく異なる、でも同じぐらい大きな衝撃があったのを覚えています。

 

アートの価値は、作家の死を最初の一区切りに、乱高下することが多いです。ポルケは死後7年を経て、今もなお最高峰のギャラリーに並べられています。もし値崩れすることがあったら、買い占めたい!

マメドリアン【昨今のアートワールド】

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日本のアパレルブランド「mame」さんが、ペースギャラリーでAdrian Ghenie(エイドリアン・ゲニー)を見ている。という、私にとってはひたすらに羨ましい状況。

 

生エイドリアンは、価格が高すぎて、日本の美術館ではなかなか手が出ないと思います。というか、世界中の美術館が、なかなか手の出せない価格になっています。たぶんこの作品も7,000万円前後はすると思います。どうだろ? 安くても、4,000万円はしているはず!(置きにいく)

 

最近はそんな状況で、公的な美術館よりも収集能力のある個人がわんさかいるので、いい作品はどんどんプライベートなスペースに流れていきます。それはそれですごくいいこともありつつ、私のような、ペヤングソース焼きそばの大盛りをたまに食べている人間にとっては、ちょっと不満もあるわけです。

 

アート市場は、完全なるバブル! なんだけど、アートがバブルでなかったことなんてここ数十年ないわけで。一時的に値が上下することはあっても、ペヤング食ってる人間にはなかなかハードルの高いものだなぁ。と思っています。

 

mameさんは買えるんかな? ドキドキ。このアパレル不況に、これを買えるほど売れていたら、驚愕の一言です。

ザ・キス【昨今のアートワールド】

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アート業界は意外と年中行事を大切にしています。バレンタインも例外ではない。

 

このポストは、あの有名なロダンの代表作のひとつ「接吻」を、スイス生まれの Urs Fischer(ウルス・フィッシャー)というアーティストがもじった作品です。バレンタインにふさわしいということで。

 

最近は、こうやって過去の超名作を、現代バージョンでつくるのがとにかく流行っている感じ。これって、いいのかな。リメイクばっかりやっていると、日本の映画業界みたいになっちゃうぞ! という、多方面に喧嘩しか売らないことを言ってみる。

エル・エー・クリスティーズ【昨今のアートワールド】

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2大オークション会社のひとつ、クリスティーズがロサンゼルスに旗艦店をオープンさせるそうです! 4月! 今年もアートは売れるんでしょうね〜。

 

それにしてもこの外観。きっとすごいお金のかかったつくりで、特別な素材なんかもふんだんに使われているんでしょうが、あまりそんな風に見えない。なんか、こういう言い方したらあれですが、女子高生とかに人気のある某アクセサリーショップっぽい見た目。摂氏4度みたいな名前のあそこっぽい。あのショップの地方にある路面店だと言われたら、信じてしまうかも。

 

でも、前にはえている木はオシャレだ。さすがLA。木までオシャレ。

 

しかし、外観はなぁ。内装はすごいんかなぁ。

ハッピー・バースデイ・リヒター【昨今のアートワールド】

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本日は、Gerhard Richter(ゲルハルト・リヒター)の誕生日です! ハッピーバースデイ!!

 

リヒターは、名前の通りドイツ人。1932年に東ドイツで生まれ、まだベルリンの壁ができる直前に西ドイツへ渡りアートを学びました。

 

リヒターの作品は、「フォト・ペインティング・アンド・ブラー」、「アブストラクト・ペインティング」、「カラーチャート」、「グレイペインティング」、「鏡とガラス」などのいくつかのシリーズのかたちで展開されています。

 

このポストはさすがのサザビーズ。もの凄くリヒターの作品をわかりやすく撮影しています。中央の絵が「アブストラクト・ペインティング」。キャンバスに絵の具をドバッと流し、大きなゴムベラでベターっと撫でて描かれた絵です。そして、横の人物。画像では、シャッタースピードの関係でボケています。リヒターの「フォト・ペインティング・アンド・ブラー」は、こんな風に動きの形跡がそのまま形になっていたり、ピンボケしていたり「写真でしか見ることのできない現実」を、絵で描いています。

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ちなみに、このポストに出ている絵のシリーズで、Abstraktes Bild (809-4)という作品があるのですが、この作品はもともとエリック・クラプトンが所有しており、2012年にサザビーズのオークションにかけられた際には、当時のレートで約26億9000万円というとんでもない価格で落札されました。これは、存命するアーティストの絵画作品の価格としては史上最高価格です。

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ザ・ピュア【昨今のアートワールド】

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世界最高峰のギャラリーのひとつ David Zwirner 様が、草間さまをインスタにあげておられる。ありがたや、ありがたや。

 

どんな気分なんだろう。好きという純粋な気持ちからの行動を、ただただ続けてここまで到達するって。でも、たぶんそういう思いすら持っていないのかもしれない。草間さんは、到達とか、目標とか、そういう次元じゃなく、もっともっと純粋なものを燃やし続けている気がします。

 

で、これはこれで素晴らしい姿勢だと思うんですが、私には絶対に真似できない。到達とか、目標とか、評価とか、お金とかむちゃくちゃ好きだし、考えてしまう。これを捨て去れば楽だよとか言われますが、そんなの無理だし、無理して捨てるような嫌なものでもない。

 

ようするに、私は凡人で、余分なことばっかり考えて、たまにこうやって純粋な凄みを見せつけられると平伏低頭してしまい、感化されて純粋さを取り戻すために何かを捨て去ろうなんてしようとしますが、無理だ!!

 

そういうことを考えている時点で、こうなりたい自分が発生していますから。それ、すでに純粋でなし。

 

彌生はすごい! イェイ! ぐらいの感想でちょうどいいんです。と、自分を慰める夜。

ウェイ・オブ・アジア【昨今のアートワールド】

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Cécile B. Evans と、Yuri Pattison のふたりのアーティストが、IBMイームズのふたつの企業とコラボしてショーを開催中です。

 

まぁまぁ、こまかいところは置いておいて、この絵。線がおもしろいなと思ったんです。よく見ると、線の太さがバラバラ。ふつうは、手前にあって強調したいものは太い強い線で。奥にあってフワッとさせたいものは弱い線で描かれます。でも、この絵はバラバラ。だから、光が部屋全体にポワンと広がったような見え方をしています。しかも、影はつけずに色はべた塗り。ここまで線に差をつけているのに、色はべたっと置かれている。

 

この描き方は、伝統的なアジアの絵の描き方です。西洋の絵は、あんまりこういうのやりません。

 

デジタル技術を駆使する若き西洋のアーティストふたりが、超絶IT企業のIBMとコラボして、アジア的な表現方法をとっているっていうのが面白いなぁと思ったんです。

 

というわけで、ひさしぶりに「びじゅツアー」やります。

 

今回は、六本木の森美術館で開催中の「N・S・ハルシャ展」へ行きます。インドの伝統的な、アジア的な絵の最新バージョンを、みんなで見に行きましょう〜。

 

詳細はここから

びじゅツアー「n・s・ハルシャに会いに行く」〜カレーとヨガと12億の人口から生まれたアート〜

 

しかし、最近のフェイスブックの過疎っぷりは凄まじいですね。そろそろここでイベント情報を流すことに限界を感じています。でも、便利なんだよなぁ。

チン・フォイル【昨今のアートワールド】

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アーティストの Abdullah Al-Othman(アブドラ・アル・オスマン)は、未亡人と、離婚した女性のためのシェルターだった建物を、アルミホイルで覆っています。

 

アートは、見えないものや、見えにくいものを、見えるようにする方法です。

 

面白いのは、隠して、見えなくした方が、逆に見えてくるものが多かったりする場合があるということです。たしかに、裸よりも、水着とか薄手のワンピースの方がなんかエロい場合が多い。

 

週末になに言ってんだろう。

 

明日は月曜日。みんな、働け。

プッシュ・ボート【昨今のアートワールド】

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1999年のビデオ作品らしいのですが、とにかく今の状況と重なることが多くてびっくり。イスラムの女性が舟を押すなんて。未来が見えていたとしか思えない。

まぁ、でも、膨大な量の作品が作られると、こんな風にばっちりタイミングがあって特別な意味を持ってくる作品も出てくるんだと思うんです。それは、神の存在とかいうのではなくて、統計学に近いものかと。いろいろなものがあれば、偶然にしろ必然にしろ、現実とリンクしていく創作物は生まれるよねって思います。

 

だからこそ、多様性は守ってしかるべきものだなと思うんです。

ウルフ・セッション【昨今のアートワールド】

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ロンドンの Chisenhale Gallery でこんなパフォーマンスが行われています。

これは、あれですわ。練習を想像して楽しむやつです。ふたりは何度も狼の映像や音声を聞いて、なんだったら生のオオカミに会いに行って、この完璧なセッションを作り上げたと思うんです。知らんけど。

特に注目すべきは「手」ですね。かわいい。

こんなテキトーなこと書いてていいんだろうか。